昔日より
江戸開府から幕府瓦解までを八つの短編でたどりながら二百六十年の歴史を追いかける本書。
将軍や有名人は一人も登場せず、名もない人々のささやかな人生にスポットを当てている。純愛に友情、親子の情愛等をテーマにした作品として秀逸で、最後まで芳醇な物語を楽しむことが出来る。
開府直後の江戸で建築現場の人足にしかなれなかった黒左衛門親子の葛藤を描く「新天地」の他「打役」、「子竜」、「船出」など。
等身大の輝きが際立つ八人の生きざまは、転換点を前にしても誇りを持って、正しい結論を導くことを求める、過去からのメッセージであろう。
参考 河北新報 平成17年6月26日朝刊
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